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運動で糖尿病と闘う

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糖尿病の発症率が上昇し続けています。あまりにも長い間この言葉を耳にして来たので、同じニュースをずっと聞き続けているようです:しかし、人々が糖尿病を予防する、またはより良く管理するための積極的行動に拍車がかかるどころか、最近の報告は更に悪い状況を伝えています~糖尿病の蔓延は悪化の一途をたどっていると。全アメリカ人の8.3%が2型糖尿病だと診断されていましたが(2010年)、その数字は2012年には9.3%に上昇し、人数にすると2580万人から2910万人へと増加しています。更に、それ以外の何千万人もの人々が、病気であるにも関わらずその事に気づいていません~つまり彼らは激しい喉の渇き、頻尿、エネルギー不足など、糖尿病の特徴的な症状を無視している事を意味します。恐らくこれらの兆候が出る頃には、血液検査の血糖値により、既に糖尿病が発症しているという診断が下されるでしょう。

糖尿病予備軍やインスリン抵抗性は、定期的に健康診断を受けていれば手遅れになる前に気づくことができ、糖尿病は予防できる病気であるからこそ、余計にこれらの数字は痛ましい限りです。特定の人達に糖尿病を発症しやすくする危険因子がいくつか存在し、例えば遺伝的要素(親や兄弟から)、人種などで、また、45歳以上ではより多くの発症が診断されています。しかし段々と若い世代、特に子供達にも糖尿病が多く見られるようになってきています。

私達は誰もが、運動は糖尿病を予防または管理するのを助ける良い方法であると知っています。最近発表されたばかりの、糖尿病発症メカニズムを一部明らかにした最新の科学研究により、運動が糖尿病の進行の軽減において果たす役割が更に明らかになりました。

高脂肪食は細胞内に炎症を引き起こし、それがインスリン抵抗性につながり、最終的には糖尿病とその他合併症を引き起こすという事はこれまでも良く知られていました。最近ネズミで行われた研究では、この病気の発症に寄与するもう一つの要素が発見されました。細胞内の炎症は、細胞内のエネルギー生産工場であるミトコンドリアによる酸素へのアクセスを低下させ、細胞のその他の機能における酸素不足を引き起こします。酸素不足は、炎症性の保護的反応を促す信号を細胞に送るフィードバックシステムを作り出します。脂肪の蓄積と継続的炎症を放置しておくと、結局それがインスリン抵抗性を更に助長し、最終的には糖尿病に至ります。糖尿病をコントロールするためには抗炎症食生活が非常に重要な理由はここにあります。

高カロリー高脂肪食が如何に「糖尿肥満(肥満と糖尿病の密接な関係を表す、優しいとは言えない表現です)」を助長するかがより明確になった今、運動が如何に糖尿病との闘いに有効かという事への理解もまた深まりました。

第一に、「エアロビック」運動すなわち「有酸素」運動は、蓄積された体脂肪を主なエネルギー源として利用する事が知られています。体が動く時、それが歩く事であれ、自転車に乗る事であれ、水泳であれ、またはエリプティカルトレーナー(楕円軌道のジョギングマシン)の使用であれ、筋肉が刺激されます。筋肉にはグリコーゲン(高炭水化物食の摂取により得られる一種のエネルギー)が蓄えられており、このグリコーゲンが筋肉への刺激により利用されます。血液中の過剰なブドウ糖が体中を循環するとダメージが起きますが、運動はそのブドウ糖を筋肉に迂回させます。この迂回が起こる理由は、一部には毛細血管数の増加による酸素運搬能力の向上、細胞内のミトコンドリア数増加、加えて酸素容量の増加にあります。筋肉の収縮はまた、細胞内へのブドウ糖の輸送も促進します。先述のように、このエネルギーの一部は蓄積された体脂肪からも供給され、体脂肪からのエネルギー供給がより高まるのは、運動が「中程度」に達し、それを一定時間維持した時です。これは運動の結果血流量が増え始めた時に起こり、それにより、血液中の脂質または蓄積した体脂肪から脂肪酸が遊離され、働いている筋肉に運ばれます。脂肪をより高い割合で放出しエネルギー源として使うためには、その人の最大酸素摂取量の60~70%程度の運動が最適である事が分かっています。より激しい運動においては使用される脂肪の割合が減少し、酸素運搬能力は低下するため、それは「無酸素」運動と称されます。しかし無酸素運動ではより多くのカロリーが消費されますし、細胞への血糖とインスリン供給に関しプラスの影響がある限りは、悪いものではありません。

ですから、中程度の運動(最大酸素摂取量、または「トークテスト」を用いましょう。呼吸しながら同時に話せるけれども、両方同時にするのは簡単ではないというレベルが適切な運動強度です)は脂肪燃焼のために最も効果がありますが、実際には、それより軽度の運動でさえも、定期的にかつ十分な継続時間(10分のセッションから始め、徐々に増やして1日合計30分にし、それをほぼ毎日、または1週間あたり合計150分間)行えば、細胞代謝とインスリン感受性に対し良い影響を与えます。年齢、リスクファクター、体重、胴囲に関係なく、歩き始めれば誰でも2型糖尿病になる確率を減らす事ができます。目標は運動レベルを上げる事で、強度の運動までレベルを上げるか、または中程度の運動の合間に強度の運動を取り入れるなどすると良いでしょう。「インターバルトレーニング」または「HIT(高強度インターバルトレーニング)」は良く知られるようになっており、体に回復時間を与えながらもスタミナ、持久力、筋力を向上させるのに適しています。
筋力トレーニングもまた、2型糖尿病のリスクを有する人や既に2型糖尿病を発症している人に適しています。先述のように、筋肉収縮により血糖が取り込まれる効果(血糖値を安定させる効果は運動後数時間続きます)があるからです。

ですから、もし皆様に糖尿病リスクがあれば、血糖値を測定し、皆様に適した運動プログラムはどういうものかを専門家に尋ねましょう。今始めれば、リスクを半分にも、それ以下にも減らす事ができます。もし既に糖尿病だと診断されている場合、運動により糖尿病管理はずっと容易になります。どちらにせよ、健康的な食生活と共に運動を最善の武器にすれば、糖尿病の増加傾向と闘い、この恐ろしい統計に良い効果をもたらす事ができます。

  • 2014年09月20日(土)17時54分

本当に効果のあるものを見つける — 商品広告をどのように見分けるか

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体型を整えるために必要な商品を大げさに宣伝する、商品情報を沢山盛り込んだコマーシャルを夜遅くにテレビでご覧になったことがあると思います。もしくはQVCやYoutubeでご覧になったかも知れません。いずれにせよ、構造化された運動プログラムが良く知られるようになって以来、役立ちそうで実はそうでもない器具が登場しては消えていきました。そして本当に効果のあるものは自然と生き残っています。

もし役に立たないこれらの器具の博物館があったとしたら、そこはこれまで生産され、販売され、購入され、一度くらいは使用され、そしてその後すぐにクローゼットやガレージにしまわれた商品で一杯になることでしょう。例えば、手で振る重り、太ももなど体のある部分だけをターゲットにした器具、ウエストを少しずつ細くする器具、お腹周りを硬くする器具など、数え上げるときりがありません。恐らくフィットネスのプロが困っているのは、商品自体というよりも、その器具で何ができるかという宣伝文句の方です。人がじっとしているよりも動くようになるのであれば、その器具自体はそんなに悪いとは言えないからです。多くの広告において、真実でないことが真実だと主張されており、本来それらは規制されるべきですが、必ずしも全てチェックされているわけではないので、消費者はその事を意識しておく必要があります。

以下、誤解を招く恐れのある広告に含まれている文面の例と、皆様がそれにお金を投じる前にご自身で実際にチェックする方法をご紹介します。

A. その広告の製品は、体重と体脂肪を非常に短期間で減らすことができる、またはその製品を使用する時間はとても短い(例えば、手で振る重りを作っているあるメーカーは、広告にある結果を得るためには6分間の運動プログラムを推奨しています)。

真実のチェック: 様々な権威ある情報源(アメリカン・カレッジ・オブ・スポーツ・メディシン、センターズ・フォア・デズィーズ・コントロールなど)によると、体重と体脂肪を減少させるには、一貫した努力を要します。長期的で健康的な結果を得るためには、継続的に有酸素運動プログラム(一般の人であれば一週間に中程度の運動を150分)を実践する必要があります。最善の結果を得るためには、週に最低2回は主要筋群を使う筋力トレーニングプログラムを行うと共に、様々な強度の運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など)をすることが推奨されます。体重減少は、摂取したエネルギー(食べたもの)よりも消費したエネルギーが大きい時に起こります。体重が1ポンド(約453g)変わるには、約3,500カロリーを要します。ほとんどの運動が1回に消費するカロリーは非常に少ないです。しかし筋肉量が増えれば、代謝が上がり、カロリー消費量が増える可能性があります。筋肉量がどれだけ増えるかは骨格筋にかかる負荷に左右されますが、もしその負荷が十分でない場合、または負荷を徐々に増やさない場合にはこの効果は制限されます。ですから、皆様がこれらの広告で信じ込まされているよりも、実際はより長い時間とより多くの努力を必要とします。健康的な食習慣と適切なカロリー摂取も大切であることを忘れないようにしましょう!

B. その製品で、体のある一部分だけを細くすることができます。

真実のチェック: 体の一部分だけを細くすると言われている運動は、未だその部分の脂肪を減らすのに効果的であると認められていません。筋肉調整は起こり得ますが、もしある程度の量の体脂肪が全体的についていれば、体の一部分だけを集中して動かしても、恐らく体脂肪の減少にはつながらないでしょう。実際に、一つの筋肉群だけを過剰に動かすことは他の筋肉群に弊害をもたらし、結果的にアンバランスを生じケガにつながる可能性があります。例えば、内股を動かす運動は、内股筋などの力を強くしますが、同時に反対側の筋肉群(大臀筋や、腰やお尻の外側の筋肉)に損傷をもたらします。

C. その商品は、それを「使用」している有名人のお薦め商品です。

真実のチェック: 有名人は外見にとても気を遣うので、通常その外見を維持するために複数のプロを雇っています。彼らはその商品を使っているかも知れませんが、恐らく彼らには、その外見を仕上げるために栄養士、専属トレーナー、スタイリスト、メイクアップアーティストもついています。更に、彼らはその広告に出演することで出演料を得ています。

D. その商品は専門家や博士が推奨しており、結果は「臨床的に証明されて」います。

真実のチェック: 皆様は疑問に思われるかも知れません。ここで言う専門家とは信頼できる専門家でしょうか?もちろん皆様は、心理学者やその他の分野のプロではなく、健康やフィットネス分野の専門家にフィットネス商品に関する意見を述べてもらいたいことでしょう。何の博士号を持った人が推奨しているのでしょうか? 医学博士でしょうか、それとも物理学博士でしょうか?(そしてもちろん「テレビ」の中だけの博士でないことを願います!)そして臨床研究に関しては、一般人はどこでその研究を閲覧することができるでしょうか?その研究は適切に計画された臨床研究だったでしょうか?研究のスポンサーは誰でしょうか?言い換えれば、誰かその研究結果と利害関係がありましたか?研究対象人数はどの位でしたか?少人数の被験者で結果が得られても、一般の人に同じ結果が出るとは限りません。 その商品以外に、その結果に影響を与えうる要素はありますか?どんなに信頼できる、優れた研究でも、同じ分野の専門家達により審査、評価されるべきです。そしてもし研究論文全文(長く、一般人には理解するのが難しく、料金を払わないと入手できないことが多い)を読みたくない方は、大抵結論や「要旨」が誰でも簡単に手に入るようになっているので、それを読まれると良いでしょう。

健康や体力を求める皆様を助けるための良い商品は沢山あります。バランスボールやエクササイズバンド、ケトルベルなど、結果が証明されたものは既にロングセラーになっています。これらは適切に、そして健康な食餌法と共に使用すれば、徐々に結果が表れます。一般的に、誰かが皆様に、ほんの少しの努力ですぐに結果が出る商品を売ろうとし、その宣伝文句を裏付ける根拠がない場合、残念ながらその宣伝文句は恐らく真実ではないでしょう。皆様の時間とお金は、本当に効果が出るものに使いましょう。ここに紹介したガイドラインに沿って長期的に効果をもたらすものを選び、より健康な人生を楽しみましょう!

  • 2014年08月27日(水)17時16分

健康な腸の鍵

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多くの人が、健康な腸のために必要なことは、菌を多く含むヨーグルト製品を食べることだけだと考えています。実際は、体内の全身性炎症をコントロールするための鍵は腸内細菌のバランスにあるかも知れません。
初めに、私達の腸内には沢山の細菌が生息しています。人間の体には約100兆個の細胞がありますが、腸内細菌の数はその10倍以上です。更に、これらの細菌はただ場所を取っているだけではありません。実際に、腸内細菌は私達の体と共生する「臓器」だと言っても過言ではない程、数多くの有益な機能を私達の体の中で発揮しています。特に有益なのは、炭水化物を発酵し更なるエネルギーを産出したり、様々なビタミンを作り出したり、私達が摂取する可能性のある毒を分解したり、病原菌の増殖を防ぐのを助けたり、という機能です。
地球上にはまさに何百万以上の種類の細菌が存在していますが、私達の腸内に生息しているのは約500種のみです。また、これらの腸内細菌は、更に3つの細菌生態系に明確に区別されることが知られています(1)。全ての人間をグループ分けできる、人間特有の4つの血液型があるのと同様に、細菌にも明確な3つの細菌生態系があります。一旦これらの生態系のどれか1つが腸内で確立されると、その生態系は腸内環境を変え始め、他の生態系の細菌は特定の種類だけが機能を発揮でき、私達との共存関係を築けるようになります。
では、それぞれの細菌生態系はどのように(サルモネラ菌のような)悪影響を与える菌を締め出すのでしょうか?まず、それぞれの生態系の細菌は腸内の免疫細胞に対し、自分達は味方であって敵ではないことを知らせなければなりません。明らかに細菌は、私達の腸内で共生するために、いかに細胞の免疫システムを抑制するかを心得ています(2)。しかし、私が思うに、これらの細菌生態系は敵ではなく味方だと認識されてはいますが、それでもなお、無数の有害な細菌に対する防御の最前線として働くためには、特別な栄養素を必要とします。
その栄養素とはポリフェノールです。植物の世界では、ポリフェノールは微生物の攻撃に対する抗生物質の役割を果たします。私達の体内に侵入し、私達一人一人に特有の細菌バランスを脅かす細菌を撃退するために、腸内の「善玉」菌は、ポリフェノールを使うという証拠があります。もちろん、私達一人一人に特有の腸内細菌というパートナーを助け続けられる唯一の方法は、ポリフェノールを豊富に含む野菜と果物を沢山食べることです。皆様のおばあさんが「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」と言った理由はこれです。
<参考文献>
1.Arumugam M, Raes J, Pelletier E, et al. “Enterotypes of the human gut microbiome.” Nature DOI: 10.1038/nature09944 (2011)
2.Round JL, Lee SM, Li Jennifer, Tran G, Bana J, Chatila TA and Mazmanian SK. “The toll-like receptor 2 pathway establishes colonization by a commensal of the human microbiota.” Science DOI:10.1126/scienc.1206095 (2011)
3.Moreno S, Scheyer T, Romano CS, and Vojnov AA. “Antioxidant and antimicrobial activities of rosemary extracts linked to their polyphenol composition.” Free Radic Res 40: 223-231 (2006)

  • 2014年08月14日(木)17時08分

心肺機能向上のための運動レベルを知るには「トークテスト」をしてみましょう

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運動をする際には、目的に合った正しい心拍数領域の運動をするべきだと言われています。確実に各自の「心肺機能を向上させる」ための、正しい心拍数領域を計算する公式が広く知られています。 

その公式は「220マイナス自分の年齢」で、理論的にはそれがその人の最大心拍数を表すとされています。

最大心拍数を計算する方法はいくつかありますが、これらの公式には科学的根拠がありません。

では、心肺機能を向上させるレベルの運動をしたくて、簡単に安全に自分に適した運動レベルを知りたい人はどうしたら良いでしょうか。一つの答えは、「トークテスト」をしてみることです。

「話す」そして「認識する」という方法を用いて最善のトレーニングレベルを決める、という概念についての最も古い記録は、1939年のものです。英国オックスフォード大学の教授の一人が、登山をする生徒達に対し「話ができる速さで登りなさい(話せなくなるほどの速足で登ってはいけない)」と諭しています。2004年に行われた研究において、酸素消費量と推奨される心拍数領域、そして馴染みのある文章、詩(例えば米国民の「忠誠の誓い」)を暗唱できるかどうか、の自己判断には密接な関係があることが分かりました。

以下は、トークテストを用いて皆様がご自身に適した運動レベルを知る方法です。
・無理のない運動を選びます(ルームランナー、エアロバイク、エリプティカルトレーナーなど)
・ゆっくり運動を始めます。同じ速度またはレベルで2分間運動した後、暗記している詩または文章を声に出して言ってみてください。暗唱した後に、ご自身に尋ねてみてください。「話すのが辛くなかったか、快適だったか?」と。もし快適で問題がなかったのであれば、その運動のレベルを上げてみましょう。
・また2分間運動した後に、同じ詩または文章を暗唱し、再び自問してみましょう。「快適に話せたか?」と。もし快適に話せていた場合には、運動のレベルを上げて同じことを続けてみましょう。ご自分の答えがはっきりしない(話すのが快適だったかそうでなかったか決めかねる)レベルに到達したら、それは、十分にやりがいのあるレベルであり、かといって一定の時間(大体20分から30分)継続できない程激しすぎるレベルでもないことを示しています。この時点でほとんどの初心者は運動のレベルを上げるのをやめ、運動する際には、このレベルかそれよりほんの少し下のレベルを保つべきです。
・もし答えが完全に「ノー」であれば、つまり、その運動レベルでは快適に話すことができず、エネルギーのほとんどを呼吸に集中させなければならないのであれば、それが心肺機能を強化するトレーニングの最大レベルであり、そのペースを長時間続けることはできないということです。達成目標を持った運動経験豊富な人や運動選手であれば、大抵問題なくこのレベルで運動できるでしょう。
既にご想像の通り、この方法は簡単で、かなり正確に安全な運動レベルを測れるだけでなく(もし一生懸命やりすぎると話せなくなりますから)、体調の改善や持久力の向上に応じて随時自分のレベルを調節することができます。ただ、忘れずにご自身がマシンにセットしたレベルを記録しておいて下さい。そしてもし、そのレベルを越えても快適に話すことができたら、それはご自身の体力がついたということです。この方法は、心拍数を変化させる薬を服用している方にも理想的です(例えば高血圧をコントロールするために用いられるベータ遮断薬は、安静時の心拍数を下げるため、 最大心拍数を用いて計算すると不正確な結果になります)。どんな運動プログラムであれ、始める前には必ず医師、経験豊富なインストラクター、またはトレーナーに相談しましょう。皆様の主治医は、場合によってはストレステストを勧め、その結果により推奨運動レベルを決めることがありますが、その場合にはその推奨レベルを守りましょう。

いたって健康な方はとにかく運動してみて、その間長々と話してみてください(または、ひと休みして少し話して、と繰り返してみてください)。もちろん、ジムでルームランナーがずらりと並ぶ列の中にいる場合には、他の人達から変な目で見られないよう話すボリュームを小さくしましょう。しかしこれは自分自身と会話するには良い機会です。

  • 2014年06月14日(土)15時47分

ソーセージから科学を作り出すような試み

疫学とは関連性についての学問であり、因果関係についての学問ではありません。19世紀に何度もコレラが流行する中、1854年、ジョン・スノウがロンドンのある地域におけるコレラ患者の割合の高さに気づき、それが疫学の本質的な始まりとなりました。これは関連性に着目したものです。ジョン・スノウの画期的打開策は、コレラ感染に関連があると疑われる水源のポンプの柄を取り外す、というもので、その結果、その地域のコレラ患者数は大幅に減少しました。この種の研究は、疫学に基づく介入研究と呼ばれます。21世紀の現代では、私達は医学的判断を導くために介入研究を実施することを躊躇し、疫学に頼ろうとする傾向があります。メタ分析の導入により、疫学は更に入り組んだものになりました。メタ分析とは、(しばしば非常に異なる条件下で行われた)複数の研究を選び、その全ては根拠がしっかりした正当な研究であるかのようにみなし、それらを分析して結論を導き出すことです。疫学研究のメタ分析は、まるでソーセージを作るために腸詰めされた挽肉の中から一片のヒレ肉を取り出す試みのようなものです。
今月『アナルズ・オブ・インターナル・メディシン』に掲載された記事は、いかなる種類の脂肪酸も心臓疾患と関連性がないことを示唆しました(1)。では、もしどの脂肪酸も心臓疾患と無関係であるなら、サーモンの代わりに豚脂(ラード)を食べてはいかがでしょう。皆様が「それはうさん臭い」とお感じになるなら、私も同感です。既に述べたように、メタ分析の問題点は、質の悪い研究も質の良い研究も全く同じように扱われることです。ここに医学研究の知られざる秘密があります。発表される研究論文の中には、質の悪いものが多くあります。研究者が独自の研究をするための資金を得られない場合、大抵は総説を書き、もし総説を書けない場合、既に発表されている多くの研究のメタ分析をし、それが独自の研究であるかのように見せます。メディアはそれを買うかもしれませんが、私は買いません。
この記事において皮肉なのは、研究者の一人が、同誌において一年前に、血液中のオメガ3脂肪酸の濃度が高いほど心臓疾患死は減り、寿命は長くなることを示唆する研究を発表している点です。その研究は良くコントロールされた研究であり、論文も質の良いものでした(2)。もしかすると彼は、このソーセージのような記事を発表する際にかつての研究を忘れていたのかも知れません(1)。
この種の研究論文において問題なのは、そもそも研究者達が心臓疾患の原因を理解していないという点です。心臓疾患の原因は脂肪酸でもコレステロールでもなく、炎症です。炎症を測定する最善の方法は、血液中のアラキドン酸とEPAの比率を測定することです。この方法は25年程前に初めて『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』において報告されました(3)。健康な人が大量のフィッシュオイル(1日あたり5gのEPA・DHA)を摂取したところ、アラキドン酸/EPA比は6週間内に21から2.5に低下しました。この期間内に、細胞の炎症を表すその他の指標も低下しました。オメガ3脂肪酸の摂取を止めるとアラキドン酸/EPA比は徐々に元の高い値に戻り、それと同時に、一時は抑えられていた炎症性タンパク質も増加し元の数値に戻りました。これは非常に良い介入研究です。
そしてもう一つ厄介な事実があります。日本人男性のLDLコレステロール値はアメリカ人とほぼ同じであるにも関わらず、アメリカ人の年齢調整死亡率は日本人男性の3.5倍です。実際、日本人のLDLコレステロール値は1980年以降上昇し続けていますが、その一方でアメリカ人のLDLコレステロール値は低下してきています。更に、この研究における日本人男性の喫煙率はアメリカ人の7倍です。まとめると、LDLコレステロール値は上昇し続け、喫煙率も高いにもかかわらず、心臓疾患死亡率は72%も低いということです(4)。もしかすると、炎症の指標としてのアラキドン酸/EPA比が鍵かもしれません。この研究における日本人のアラキドン酸/EPA比は2.6で、アメリカ人のアラキドン酸/EPA比は11.1でした。この研究におけるアメリカ人は、アラキドン酸/EPA比が平均20である一般のアメリカ人より炎症のレベルは低かったといえます(5)。しかし、それでもこの研究における日本人のアラキドン酸/EPA比はアメリカ人より76%低かったことになります(4)。ではもう一度この研究を振り返ってみましょう。日本人はアメリカ人と比較して、炎症の度合いが76%低く、LDLコレステロール値は同じで、喫煙率はより高いにも関わらず、心臓疾患死亡率は72%低いです。もし私が賭け事好きであったとしたら、アラキドン酸/EPA比の低下が心臓疾患に与える影響を見る介入研究の実施にお金を賭けるでしょう。これは正に日本人がJELIS研究においてなしたことです。この研究はこれまでの心臓血管に関する研究の中で最も大規模なものの一つで、約18,000人を対象に行われました(6)。全対象者のコレステロール値は高く、従って全員がスタチンを与えられていました。アラキドン酸/EPA比の平均は1.6で、アメリカ人の平均20と比較して非常に低い値でした(5,6)。対象者の半数には、残り半数の対象者より多くのオメガ3脂肪酸が与えられました。もし最近発表された先述のメタ分析が正しいとしたら(1)、特に全員がスタチンを服用していることを考慮すると、この余分に与えられたオメガ3脂肪酸は何の効果ももたらしません。実際には、3年半後に全く逆のことが起こりました。オメガ3脂肪酸を与えられたグループのアラキドン酸/EPA比は低下し、彼らの心血管系事象発生率は、プラセボを与えられたグループと比較して20%少なかったのです。更なるサブグループ分析により、この心血管系事象発生率低下の原因として最も重要な要素は、アラキドン酸/EPA比の低下であることが示されています(7)。これを簡単な言葉に置き換えると、炎症を低下させれば、心血管系リスクが減少するということです。
ですから今後、脂肪酸は心臓疾患に何の効果をもたらさないというメタ分析が目に止まったら、実際に炎症のレベルを低下させた本物の介入研究を読んでみて下さい。そうすれば、心臓疾患に対する脂肪酸の役割について、ソーセージのようなメタ分析を読むのとは全く違う絵が見えてきます(1,8)。そして、もし皆さんがオメガ3脂肪酸を用いた介入研究を実施するとしたら、必ず日本人と同じレベルまでアラキドン酸/EPA比を下げてください。公表された用量反応試験によると、そのためには1日あたり最低5gのEPA・DHAが必要です(9)。現時点において、それだけの量のオメガ3脂肪酸を用いた心血管系の研究は実施されていません。心血管系疾患の研究において最低それだけの量のオメガ3脂肪酸を使用していないとしたら、おそらくそれはプラセボ程度の量を使用していることになり、プラセボ程度の結果しか得られないことが予測されます。

<参考文献>
1.Chowdhury R et al. “Association of dietary, circulating, and supplement fatty acids coronary risk.” Ann Intern Med 160:396-406 (2014)
2.Mozaffarian D et al. “Plasma phospholipid long-chain omega-3 fatty acids and total and cause-specific mortality in older adults.” Ann Intern Med 158:515-525 (2013)
3.Enders S et al. “The effect of dietary supplementation with n-3 polyunsaturated fatty acids on the synthesis of interleukin-1 and tumor necrosis factor by mononuclear cells.” New Engl J Med 320:265-271 (1989)
4.Sekikawa A et al. “Serum levels of marine-derive n-3 fatty acids in Icelanders, Japanese, Koreans and Americans.” Prostglandins Leukot Essent Fatty Acids 87:11-16 (2012)
5.Harris WS et al. “Erythrocyte omega-3 fatty acids increase and linoleic acid decreases with age: observations from 160,000 patients.” Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 88:257-263 (2013)
6.Yokoyama M et al. “Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis.” Lancet 369:1090-1098 (2007)
7.Matsuzaki M et al. “Incremental effects of eicosapentaenoic acid on cardiovascular events in statin-treated patients with coronary artery disease.” Circ J 73:1283-1290 (2009)
8.Rizos EC et al. “Association between omega-3 fatty acid supplementation and risk of major cardiovascular disease events: a systematic review and meta-analysis.” JAMA 308:1024-1033 (2012)
9.Yee LD et al. “Omega-3 fatty acid supplements in women at high risk of breast cancer have dose-dependent effects on breast adipose tissue fatty acid composition.” Am J Clin Nutr 91:1184-1194 (2010)

  • 2014年06月08日(日)15時41分

ゾーン製品がオリンピック選手に競争力を

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2012年のオリンピックに向けてのトレーニング中、私はフロリダにいました。その間、ある元プロのトライアスロン選手と栄養学について話し合いました。彼女は30代後半で、当時の私より少し年上、トレーニングに参加しているほとんどの選手より10歳以上年上であるにもかかわらず、ペースの速いトレーニングに問題なくついてきました。彼女は、シアーズ博士のゾーン製品を使っているのでトレーニングに耐えられ、回復できるのだと話していました。

トライアスロン選手は日光と風、プールの中で毎日長時間を過ごすため、体がタフなことで知られています。彼女は私に、炎症と戦うために重要な抗酸化物質とフィッシュオイルを摂るということについて話してくれました。

オリンピックチームが結成された後、私は栄養面に多くの力を注ぎました。オリンピックレベルの選手になると、肉体的にはどの選手もあまり差がないからです。ある日、私達の栄養士はチームの6人の選手に、抗酸化物質とフィッシュオイルを毎日サプリメントで摂取することの重要性を話しました。フィッシュオイルは、トレーニングにより起こる炎症を減少させるために必要なものでした。

その時、私は数ヶ月前にゾーン製品について聞いたことを思い出しました。オリンピック選手にとって製品の品質、純度は非常に重要ですが、その理由は定期的に薬物検査を受けるからです。時には1ケ月に3回受けることもあります。私は製品について調べ、ゾーン製品の品質にとても安心し、使用禁止薬物は一切含まれていないと確信しました。
それから、毎日「オメガRx」を摂り始めました。回復が速くなり、喘息が軽くなるのを感じました。そして喘息の薬の量を減らすことができました。私の普段の食生活では摂ることのできない、重要な栄養素が入っていました。

私が双子を妊娠した時にも、フィッシュオイルを摂り続けました。市場に出ている商品の中でゾーン製品は最高品質のものであり、また、妊娠中のDHA摂取が推奨されているからです。出産後忙しくなる中で、外出中でも栄養がしっかり摂れるようゾーンフーズを摂るようになりました。お迎え時間に間に合うよう保育園に向かっている時にも、トレーニング後に水泳教室に向かっている時にも、ゾーンフーズには本当に助けられました。便利ではあっても健康ではないものに手を伸ばす代わりに、体に良いものを摂ることができました。
私の子供達はフィッシュオイルを摂りながら育ち、ゾーンフーズも大好物になりました。そして母親として、子供に与えるものが高品質だと確信を持てることは、とても安心なことです。娘が「これは健康に良いもの?これを食べると大きくなれて、強くて健康な体になれる?」と尋ね、私が「そうよ!」と答える時ほど幸せな時間はありません。

ランニング、自転車、水泳、水球、ヨガの定期的な練習とバランスの取れた食生活、そしてゾーン製品のお陰で、私は2012年から同じ体重をキープし続け、トライアスロンのプロライセンスを保持し、水球とトライアスロン両方で全国的大会に出場しつつ、双子の子育てをしています。私は生涯ゾーンファンです!

  • 2014年05月08日(木)13時02分

できれば避けたい減量に関する6つの間違い

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スポーツジムに通っている皆様にとって訳に立つかも知れない記事です。以前の記事の中で、ジムで運動することも大切ですが、口に入れるものの方がより重要だとお話しました。今日は、より長くより健康に生きるために、避けたい6つの間違いについてお話します。

1)減量したいと言いながら、同じ生活スタイルを五年間続けているあなた。
ちょっと待ってください!同じことを繰り返していても望む結果が出ないなら、それは賢い選択ではありません。変わるのは今です。ゾーンダイエットと他の食餌プログラムを比較するため、厳密なコントロール下で行われた全ての研究において、ゾーンダイエットは以下の点で他より優れているという結果が出ました。①ホルモン(インスリン)のコントロール、②血糖値のコントロール、③血中脂質のコントロール、④食欲抑制、⑤体脂肪減少、⑥細胞の炎症の減少、です。最も重要な点は⑥で、これは慢性疾患の主な危険因子です。
解決法:ゾーンダイエットを実践しましょう。

2)食事の2時間後にはお腹が空き、それを「満たす」ために食べる。
私もシアーズ博士の著書「ザ・ゾーン」を読む前はそうでした。それが普通だと思っていましたが、実はそれが血糖値とインスリンレベルと関係しているという事を知りました。もしこのことを知らず、食生活を変えていなければ、私はきっと生涯に渡り薬を飲み続け、その副作用に苦しんだことでしょう。
解決法:毎回の食事と間食の際に、低脂肪のタンパク質と「好ましい」炭水化物(カラフルな、デンプン質でない野菜)をバランス良く摂り、血糖値をゾーンに保ちましょう。すると集中力も肉体的エネルギーも高まり、空腹感もなくなります。

3)「ダイエット」または「脂肪ゼロ」と表示された食品や飲料は減量の助けになると信じていませんか?
ダイエット商品であれば、何をどれだけ食べても大丈夫だと自分を納得させていませんか?研究によれば、ダイエット商品に含まれる甘味料により、皆さんの味蕾(食べ物の味を感じる小さな器官で、舌などにある)は一時的に満足したとしても、脳はそれにだまされず(脳はエネルギーとしてブドウ糖が必要なので)、もっと食べなさいという信号を送ります。
解決法:空腹を止める最善の方法はバランスの取れた食事です。つまり低脂肪タンパク質と、カラフルなデンプン質でない野菜など、インスリンを急激に分泌させない炭水化物をバランス良く摂ることです。

4)「摂取カロリーが多いと太る」と信じこんでいますか?
食品に含まれるカロリー数が問題であるから、摂取カロリーを減らし、もっと運動しなければならない。この神話の信奉者達は、炭水化物の種類と、それが与えるホルモンへの影響を無視しています。カロリー計算をして減量できましたか?私達がエネルギーとして必要な全てのカロリーは、体脂肪という形で体に蓄えられます。私達に必要なのは、その体脂肪を引き出すためのホルモン的キャッシュカードであり、ゾーンダイエットがそのキャッシュカードにあたります。ゾーンの中心的テーマは、食事をカロリー的にではなくホルモン的に考えることの重要性を理解することです。ひとたびゾーンの鍵となる原則を理解すれば、なぜほとんど全ての食餌プログラムがホルモン的に間違っているかを理解し始めるでしょう。カロリー的考えでは、「もし私が脂質を口に入れなければ、お尻に脂肪はつかない」はずです。ゾーンのホルモン的考え方では、なぜあなたが摂取カロリーを減らしているにもかかわらず、毎年体重が増え、より病的になっているのかを説明することができます。
解決法:GI値の高い炭水化物(急激に血糖値を上げるもの:パン、パスタ、イモ類、米、穀物)の摂取を減らしましょう。そしてGI値の低い炭水化物(ゆっくりと血糖値を上げるもの:カラフルな野菜、ブロッコリー、ほうれん草、ピーマンなど)をより多く摂りましょう。


5)食事に含まれる脂質はダイエットの敵だと思っていませんか?
脂質だけであなたが太ることは不可能だということを知っていましたか?あなたを太らせ、太った状態をキープするのはインスリンというホルモンです。インスリンはどうすれば沢山分泌されるでしょうか。脂質が全く含まれていない炭水化物を摂りすぎた時、または一度に過剰なカロリーを摂取した時です。アメリカ人はこの両方を行っています!家畜として飼っている牛を太らせる最善の方法は、低脂肪の穀物を沢山与え、インスリンレベルを上げることです。人間を太らせる最善の方法は、低脂肪の穀物をパスタやチップス、ベーグルという形で沢山与えることです。

6)毎日薬を服用し過ぎていませんか?
そう、私は皆さんが薬を服用していると言っているのです。炭水化物は非常に強力な薬であり、どんな薬も過剰摂取すると副作用があります。炭水化物の摂り過ぎはインスリンの過剰分泌を招き、健康を害し、細胞の炎症を促進します。そして細胞の炎症は、関節炎、癌、認知症、心臓疾患等、全ての慢性疾患の根本的原因です。
解決法:インスリンを、高すぎも低すぎもしない、厳密なゾーンの範囲にコントロールしましょう。

食べ物がどのようにホルモンバランスを整えるかという真実(炭水化物によりインスリン分泌が刺激され、タンパク質によりグルカゴン分泌が刺激されること)を一度知れば、皆さんは食事に関する正しい選択ができるようになります。そして、より長く生きることができ、また、より長く人間らしい生活をすることができるようになります。

  • 2014年04月29日(火)13時01分

アスリートはゾーンで新たな高みへ 

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1999年に、私はバリー・シアーズ博士の「ザ・ゾーン」という本を読みました。アスリートとして自分のパフォーマンスが高まることを願い、それまであらゆる種類の食事を試していました。友人が「ザ・ゾーン」を薦めたので、読んでみると、その一冊の本が私の人生を大きく変えました。ゾーンダイエットを実践すると、パフォーマンスが向上するだけでなく、運動後の回復がより速くなり、エネルギーレベルも一日を通してこれまでよりずっと安定するのを感じました。体組成においては自然に筋肉組織の割合が増え、体脂肪率は減りました。これら全ての変化は、食事を変えただけで達成されたのです。

それ以来シアーズ博士と私は友情を育み、博士が勧める食事アドバイスの多くを実践してきました。博士のアドバイスは、私が非常に誇らしく思っているいくつかの成績を獲得する助けになりました。TIME誌は私を「世界で最も影響力のある人々100人」の一人に選出しました。Men’s Fitness誌は私を、この地球上で最も壮健な男性の一人に数えました。スタン・リー(漫画『スパイダーマン』『X-メン』等の原作者)は私のことを「スーパー人間」と呼びました。私はこのような称賛を得るようになるとは夢にも思っていませんでした。

ゾーンの実践により、私はアスリートとして、精神と肉体をより高い次元に引き上げることができました。私は三日間眠り続け、その後350マイル(約563km)を続けて走ったことがあります。気温49℃のサハラ砂漠を横断する競技に参加したこともありますし、気温マイナス40℃の南極点に向かうマラソンを走ったこともあります。10のレースにおいて、通常12名1チームで走る200マイル(約321km)のリレー競争を最初から最後まで一人で走り切りました。

走る以外にも、サンフランシスコ湾を泳いで横断し、多くの山々を登り切り、連続24時間の自転車レースに参加しました。また、スタンドアップ・パドルサーフボードの長距離レースに参加したり、ハワイやカリフォルニアの巨大な波の上でサーフィンをしたりもしました。

世界一ハードな徒競走として知られるバッドウォーター・ウルトラマラソン(2003年、2004年)でも、世界一苛酷な耐久レースであるフォー・デザーツ・チャレンジ(2008年)でも優勝したことがあります。2006年には米国50州全てで各州1レースのマラソンを走ることを50日間続け、多くの人に不可能と言われたことを成し遂げました。

この全ての期間、私はゾーンダイエットを実践してきました。シアーズ博士、ありがとうございます!

  • 2014年04月19日(土)12時59分

新年度を健康に過ごすために

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約20年前にゾーンダイエットが世に知られるようになって以来、それは最高の健康状態とパフォーマンスを引き出すための土台であることに変わりありません。ゾーンダイエットは3段階のピラミッドから成り、一番の土台はホルモンバランスを一定に保つ食事、その上にオメガ3脂肪酸、そしてその上にポリフェノールがきます。この3つが組み合わさると、生涯に渡り細胞の炎症をコントロールする最高の栄養バランスが出来上がります。ゾーンダイエットの効果を最大限に得るために、これからご紹介するいくつかのヒントをご活用ください。

◆細胞の炎症レベルを知るために、AA/EPA比を測りましょう
炎症レベルの上昇は、体重増加、老化の加速、慢性疾患の発症の根本原因です。AA/EPA比は、現在の皆さんの食生活とフィッシュオイルの量がどの位炎症をコントロールできているかを示し、より健康になるためには何を変えれば良いかが明らかになります。ご自身の現在位置を知り、新しい目標とそのためのプランを立てましょう。


◆マキベリーを摂りましょう
マキベリーは南アメリカ大陸の南端近く、パタゴニア地方に生息する青いベリーで、ポリフェノールの一種であるデルフィニジンを最も多く含む果実として知られています。デルフィニジンは、抗炎症効果、アンチエイジング効果、そして血糖値コントロールを助ける性質を併せ持つ優れたポリフェノールです。ゾーンのPolyphenols XT は、マキベリーから抽出し精製したポリフェノールのエキスです。Polyphenols XT 1カプセルに含まれるデルフィニジンの量は、赤ワイン66杯、またはダークチョコレート13枚、またはブルーベリー2.27kgに相当します。私は代謝機能が弱いのですが(例えば、炭水化物に対して非常に敏感に反応します)、マキベリーを摂ると血糖値のコントロールをとても助けてくれます。毎日飲むサプリをこれ以上増やすのはうんざり、という方は、Polyphenols XTのカプセルを割り、中の粉をお好みのスムージーやヨーグルトに混ぜて飲むのもおすすめです。


◆毎日何らかの運動をしましょう
何か大げさなプログラムでなくて構いません。基本的に、座らずに立っている時間が長いほど体に良いことは間違いありません。しかし、やり過ぎは禁物です。過剰な運動はコルチゾールレベルを上げ、細胞の炎症を助長します。


◆瞑想をしましょう
瞑想に関する最近の研究によると、瞑想開始からわずか1時間で既に遺伝子の発現にポジティブな変化が見られることが分かっています。瞑想によるストレス軽減、適度な運動、そしてゾーンダイエットの組み合わせは日常の小さな心がけ次第ですが、全て合わさると遺伝子発現と分子生物学の分野で最先端の健康法になります。

  • 2014年03月09日(日)15時25分

アトキンスダイエットはなぜリバウンドするかをハーバード大学が説明

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ハーバード大学医学部の研究では、ケトン体を産出するダイエットで体重を減らすことはできるけれども、大抵減った分の体重は全てすぐに戻ると説明されています。何十年もの間、急速な減量にはケトン体を産出するダイエットが推奨されてきました。最も有名なものはアトキンスダイエットです。ケトン体を産出するダイエットは、高タンパク、非常に低炭水化物摂取を基本としています。過去40年間このようなダイエットが減量のために日常的に行われてきたにもかかわらず、アメリカではますます肥満が蔓延しています。ケトン体を産出するダイエットは最初体重を減らすことができる一方で、減少した体重はほとんどの場合急速に元に戻り、そのダイエットを始めた時よりも更に体重が増え、そして脂肪も増えるという結果になります。

長い間、このように体重が戻る原因は、これらの食餌方法を続けることの難しさにあると考えられてきました。ハーバード大学医学部はThe Journal of the American Medical Association誌 2012年6月27日号の中で、体重が戻る原因は単に食餌方法を継続できないからというよりも、更に恐ろしい理由であることを示しています。注意深く管理された良質な臨床試験において、ハーバードの研究者達は、ケトン体を産出するダイエットによりコルチゾールレベルが18%上昇し、代謝をコントロールする甲状腺ホルモン(T3)のレベルが12%低下することを実証しています(1)。

コルチゾールを薬として使用したことのある人であれば誰もが知っているように、コルチゾールが増加すると急速に脂肪が蓄積されます。また、免疫システムが低下したり、記憶を喪失したり、皮膚が薄くなったりします。これらはまた、老化プロセス加速の特徴でもあります。更に、甲状腺ホルモンの活性型が減少すると、代謝のスピードを遅らせ、一見カロリー摂取量が増加したかのように体脂肪蓄積の増加をもたらします。アトキンスダイエットは皆さんが落とした体重を全て再び戻すだけでなく、明らかに老化の速度を速めます。

しかし多くの人々は、素早く減量できるだろうという希望の下、このようなケトン体を産出するダイエットを試したがっているようです。しかし、私が6年以上前に世界で最も権威ある栄養学雑誌で発表した、注意深く管理された良質の研究は、その考えが真実でないことを実証しています(2)。この研究の中で、肥満の患者を対象にケトン体を産出するダイエット(アトキンスダイエット)とケトン体を産出しないダイエット(ゾーンダイエット)が比較されています。最初の6週間、両方のグループのための全ての食事は


アリゾナ州立大学のメタボリックキッチンで準備されました。両方のダイエットのカロリーは同じでした。

体重減少という点においては、図1に見られるように、最初の6週間にゾーンダイエットを実践した人々の方がケトン体を産出するダイエットを実践した人々よりもやや多く減量できました。

また、図2に見られるように、ゾーンダイエットによる脂肪減少はアトキンスダイエットによる脂肪減少に勝ります。脂肪を減らすことが体重を減らす事よりもずっと重要です。なぜなら、体重減少による健康的利点は過剰な体脂肪の減少からくるものであり、体内の水分量や筋肉量の減少からくるものではないからです。

被験者がそれぞれの食餌法をその後4週間続けたところ(今回は自分自身で食事を用意)、ケトン体を産出しないゾーンダイエットを実践したグループは、更に体重と体脂肪が減り続けました。一方、ケトン体を産出するアトキンスダイエットのグループでは体重も体脂肪も変化せず、被験者は停滞期に入りました。ハーバード大学医学部の新しい研究がその理由を説明しています。

カロリー制限のあるダイエット実践においてよくある問題のひとつは、エネルギー不足です。同研究において、ゾーンダイエットを実践した人々は、アトキンスダイエットを実践した人々に比べて日ごとにエネルギーが増しました。同じ被験者を用いた別の研究においては、アトキンスダイエットを実践した人々に比べ、ゾーンダイエットを実践した人々の方が持久力テストでより良い成績を出しました(3)。

過去40年の間、(アトキンスダイエットのような)ケトン体を産出するダイエットはアメリカにおいて肥満を改善する事に失敗してきました。人々が体重(そして実質的には体脂肪)を減らし、リバウンドせず、エネルギーを上げるのに最善のダイエットはどれか判断するために、誇大広告ではなく科学を信頼する理由がここにあります。1999年以来続いているハーバード大学医学部における研究は、ゾーンダイエットが両方の目的を達成するために最善の食餌プログラムである事を実証しています(1、4~7)。ハーバード大学がいつも皆さんに言い続けることは、彼らは決して間違っていないということです。

<参考文献>
1.Ebbeling CB, Swain JF, Feldman HA, Wong WA, Hachey DL, Garcia-Logo E, and Ludwig DD. “Effects of dietary composition on energy expenditure during weight loss maintenance.” JAMA 307: 267-2634 (2012)
2.Johnston, C.S., Tjonn, S., Swan, P.D., White A., Hutchins H., and Sears B. “Ketogenic low-carbohydrate diets have no metabolic advantage over nonketogenic low-carbohydrate diets.” Am J Clin Nutr 83: 1055-1061 (2006)
3.White AM, Johnston CS, Swan PD, Tjonn SL, and Sears B. “Blood ketones are directly related to fatigue and perceived effort during exercise in overweight adults adhering to low-carbohydrate diets for weight loss: A pilot study.” J Am Diet Assoc 107: 1792-1796 (2007)
4.Ludwig, DS, Majzoub AJ, Al-Zahrani A, Dallal GE, Blanco I, and Roberts SB. “High glycemic index foods, overeating, and obesity.” Pediatrics 103: e26 (1999)
5.Agus MSD, Swain JF, Larson CL, Eckert EA, and Ludwig DS. “Dietary composition and physiologic adaptations to energy restriction.” Am J Clin Nutr 71:901–907 (2000)
6.Pereira MA, Swain J, Goldfine AB, Rifai N, and Ludwig DS. “Effect of low-glycemic diet on resting energy expenditure and heart disease risk factors during weight loss.” JAMA. 292: 2482-2490 (2004)
7.Ebbeling CB, Leidig MM, Feldman HA, Lovesky MM, and Ludwig DS. “Effects of a low–glycemic load vs. low-fat diet in obese young adults”. JAMA 297: 2092-2102 (2007)

  • 2014年03月09日(日)15時18分
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